コミケに行けない未来の製本費計算

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突然暑くなりましたね。皆様いかがお過ごしですか。ご自粛お見舞い申し上げます。もともと外に出る仕事多くは無いんですけど、コロナ関係でお買い物とかも行かないし、家にいる時間が長くなりました。

家にいる時間、何してるかって言うと、絵を描いてればいいんですけど、思わずスマホ見ちゃうんですよね。眼が疲れて、ちょっとお昼寝しましょうかって時なども、うっかりボケっとスマホ見て時間を捨ててしまう。その時間目を閉じてれば、全然違うのに、PCよりも細かい画面を見て、結局、無駄な時間と体力を消費してしまう。ホントよくない。
はい。えっと、おかげさまで通販のご注文がぽつぽつ入っておりまして、なんとなく、ああうちもまだ覚えて頂けているんだなー嬉しいなー的な日々でございます。作品を作ってはいるのですけど、せっかくのこの時期、せっかくなのだからいつもと同じじゃないものを……なんて考えてしまい、色々迷走しております。
じつわ。本にすることについてなんですが。確かに、本にする面白さってあるんですけど、自分が本に転向したのは、コミケがあるからです。でも、今年の冬は多分無理でしょうし、来年の夏だってあるかどうかわかりません。自分はマスクをしてまでコミケに出店しようとは思いません。となると、最低でも1年は、本を持ってコミケに行かない、という事になります。
らばた工房の製本数は、大雑把に、本を500冊作ったばあいとして。1回のコミケで、だいたい半分250部が会場用。とらさんとメロンさんに100部づつで、のこり50は次回既刊。こんな計算になります。でも、この会場用の250がなくなります。じゃあ、とらさんメロンさんにその分行くかっていうと、それは無いと思います。行っても100。既刊も必要ないので、とすると製本数は300です。
で。26Pで、300冊と。これだと、一冊つくるのに、200円ぐらいです。製本費およそ6万。で、書店の委託費が180円。なので1冊の商品経費は360円です。500円販売だと、140円がサークルの利益になります。1冊につき委託費は必ずかかりますから、500円-180円で、売り上げ320円で印刷費を回収しようとすると、187冊目までは赤字です。半分以上売れないと、回収できないです。うまく200部売れたとしても利益は4千円。
つまり、コミケが無いと、製本する場合、この4千円の利益確保のために、6万ベットすることになります。ギャンブル並みでしょ。コミケがあれば、会場にモノを持っていくだけで、売れ数は増えて、書店委託費が掛からないので、利益率は跳ね上がります。関連企業が大騒ぎしてエアコミケとかする理由解るでしょ。
で。製本は非常にブの悪いギャンブルなんです。もちろん「本になることが嬉しい」的なのはありますし、お金がいくらか振り込まれると、利益を上げられたとか、自分が認められた気になりますけど、きちんと計算すれば、それは自分がお金を払って、製本所、書店に納金してるだけだってことが解ります。全然生産者なんかではなく、時間と労力とお金を支払う鴨、いや、客です。
じゃあ、今後本を作らないかっていうと、それは思案のしどころなんです。おそらく、コミケがまた再開しても、客数は3割減は固いと思います。でも、そこをついて、書店通販革命がおきるかもしれないですし、今はBOOTHというものもありますので、そこら辺をうまく使えないかなって思っています。
デジタル資料は電気が無ければ読めないし、いつかなくなりますけど、紙ならなくならない。それに、「B5の本で表現できるもの」にすると、それなりに枠が決まるのでハラも決まります。
自分も結局、業者さんたちの「薄い本商法」に乗っかってきたわけで。これがが、未来は通じなくなっていく。今後はいかに、直接お渡しできるか。そんな未来に対応していければと。