キンカン話

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みましたか?僕は見てません。その時間、外に居たのに。太陽の下のに居たのに。ねえみんな聞いて。僕のこんな話。やよいちゃんはあんまり関係ありません。でも、あざとく慰めて欲しいときもあるというお話です。

ニュースがキンカンネタだらけになった前々日あたりに、ああ、そういうめがねを買わなくちゃいけないのねと。本屋に行くけど売り切れ。ああ、大ブームなのねと。でも、ニュースはこう言う訳です。「めがね無しではぜったい見ないで!見たら失明するぞ!」ぐらいに。他探すのも面倒なので、あきらめました。かもめはかもめ。夕飯のお買い物して帰りました。

めがねが無いから僕は見れない。ちきしょー当日曇ってしまえ(ひでぇな)。そう思いながら天気予報見ると「曇りor晴れ」なんだよ「or」って。ははん、これは「曇り」予報だと日食めがねの売り上げが下がるからこういう表記にしてんだな。チッ、ひっかかんねーよそんなの、と。曇ってしまえ~グハハハハと。

で、当日。あの時間、ボク、近所の公園でストレッチしてるんです。この時間はラジオ体操組みが完全に帰った後であり、ちい散歩組みの来る前なので、ちょうどいい時間なんです。んがこの日は、まぁ、巨大なカメラセットしたオヤジ、親子連れ、通勤途中のサラリーマン。いつもの場所は当然占領されてるので、日陰になる端っこで。いつものメニューの短い版を。すこしでもやんないと、肩があがんなくなっちゃうのよ。PCで絵描いてるとね歳ね。

さて、歓声が上がる。時刻はどうやらキンカン真っ只中。とりあえず僕も太陽直視。わかんねーし見えんし、ああ、こりゃほんと目にヤバそう。と思って、もうあとは、自分の筋肉みたいなぜい肉を伸ばすことに集中。宇宙には心だけ思いを馳せました。

でもさすがに、その場の、自分だけ取り残されてる感。なぜか嘲笑されてる感。つーか、訳解らんメガネかけて、口あけてみんなで空見てるお前らの方がよっぽどアホ面じゃと思うけど。でも日本人の僕は多数派にかなわず、スゴスゴ逃げ帰りました。公園から真西にあるわが部屋へ。太陽が背です。帰り道、多くの家の玄関で、アホメガネのアホ面。バーカバーカ。空は見ない僕。

で、その日の午後、知人とお話。知人「みたみた?」。 僕、悔しいので「寝てました。めがね買わなかったし」。 知人「オレもメガネ買ってないよ。でもメガネなしでも雲のフィルターでみえたよ」。 さらにおばちゃん「うちは駐車場のスモークの屋根越しにみえた。はっきりとね」

 ――何かを悟る。僕。

 ああ、そっちか……! 「晴れるかも予報」でメガネを買わせようとしたのではなく、「メガネが無いと見れない」が本丸か!というか、ひねり無しか! TVが買わせる側に立つ以上「裸眼で見える方法」を取り上げるわけ無い。実際にバカが直視してもまずいし。しかしここに居るバカは「メガネ無ければ見えない→僕は見れない」を鵜呑みに信じ込み、何も抗おうとしなかった。試そうとしなかった。信じていない、だまされなんかしないと思っていたTVにまんまとやられたのか。

 僕は、多くの男の子にもれず、宇宙の話なんか大好きです。こないだの月食も完全に見たし、雑誌ニュートンだって時々買っちゃいます。でも、今、興味ないふりしてます。悔しい。騙されたことより、そこで何も解決しようとしなかった自分に悔しい。大好きなものが賭けられた勝負なのに、他人の、しかも、何の信頼もしていないTVの情報を優先させた自分のバカさ加減に嫌気がする。エスポワール乗ったら真っ先に別室だオレ。

 そんなお話。御伽噺だとサシズメ「自分がすごいと思ってるやつほどバカ」的なお話でしょうか。ありがとうねやよいちゃん。オレ、バカだけど頑張るよ。