オキテルバカ

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なんか最近、僕の周りで「バカ」がキーワードになっている気がします。たとえば、「バカのバカによるバカのための会社」「ウチの会議はバカ選手権」、これは、バカなことを大声で言う人が得をする会社に勤めてる人のツブヤキです。なんか大変そう。

でも、僕は基本的にバカ好きです。僕もバカなので、バカといると安心するからだと思います。コノタビ、知人に、面白いからと勧められまして、買ってみました。「ネムルバカ」というマンガです。読んで、僕はとても面白いと思いました。ざっくり言えば、世の中に一定数いるバカを描いた作品(……で合ってるのかな)なんですが、愛すべきバカとそうでないバカが、境界線あいまいに描かれています。

バカは亜種も含めればきっと様々な種がいると思いますが、大きく別けて2種ではないでしょうか。リスクを背負うバカか、そうでないバカか。前者は、リスクをリスクとして認識していない可能性もありますが、バカゆえに痛い目を見るのは自分です。そういう人は僕も一緒に痛い目みてやりたくなります。

でも後者は、口先だけで虚勢を張って生きてるので、その瞬間は得をします。そこにいる人を制したような気分になれるかもです。でも長い目で見れば、そういう人の周りからは人が消えて、残るのはそういうバカを同じように捕食しようとする同種のバカなので、ぜんぜん得ではないのかもです。なるべくなら、こういうバカとは関わり合いになりたくないです。

この「ネムルバカ」という本には、ズバッと解かりやすいセリフが本当にいっぱいあって、僕の中で、いままで言葉にならなかったもやもやを解消してくれました。この作者さんは、絵も上手でコマ割りもよく、得体の知れない空気みたいなものに名前をつけて紹介して、なおかつ面白く出来る人で。どんだけ天才なんだろう。

そのセリフの中で、僕がすごく好きなのが、インディーズバンドの主人公がメジャーになる時に援助してくれるレコード会社の人のセリフです。「君たちの曲はすごく良い。でもそれは”自分の耳を頼りに探して、自分で判断し、感想を持つことができるごくわずかの人”にしかウケないよ」的なことを言うんです。シビれました。めちゃめちゃシビれました。

お話はその後、メジャーになるには仕掛けやからくりが必要だ、ってなって、腑に落ちないまま、あいまいに引かれた境界の上を、若い主人公が流されていきます。ともすれば、そのレコード会社の人のセリフは、売れない者の遠吠えとしてもそのまま使えます。でも、ホントに遠吠えだったら、本人の心は悔しさでいっぱいでしょうから、この言葉になんの力も持ちません。

僕がしているこの活動は、まさにこのインディースなのかなと思います。そしてみなさんは、自分自身で探して、判断して、ウチのを買ってくださってるわけじゃないですか。ウチは雑誌やテレビで紹介されてないし(アタリ前田)。ましてや常連の方は、皆さん自身のモノサシで計って、ウチの作品を再度選択してくれてるわけじゃないですか。

だからきっと、みなさんはバカかもしれません(オイこら)。普通に本屋さんに、もっと安い値段で、とっても優れた商業誌があるのに、ダウンロードで素人の作ったこんな作品を買うんですから。僕も、買い手の時は、欲しければ何の躊躇もなくクリックしますからやっぱり、バカだなぁと思います。しかもお金を払うわけですから、リスクは自分で背負うしかないですよね。みなさんはリスク承知で、らばたに勝負をかけてくださってるわけです。だからカッコイイ方のバカです。愛すべきバカです。というか愛してます。リスク背負っても自分のモノサシで生きて行ける人、大好きです。

そんな皆さんを相手に作品を作っていられるのは、何モノにも代えがたい恵まれた環境です。今、かなり前に始めた小説作品のツメの段階ですが(やっとCintiqに慣れて来たような……)、何度も修正を繰り返しています。でもさすがに11月内には出せます。コレは大丈夫。はい。

修正を繰り返してると、作品の向こうに皆さんがいるのをやはり、すごく感じます。だからヘタなこと出来ないし(すんなよ)、手抜きも出来ません。え、手抜きに見えます?すみませんそれ、僕の全力です。精進します。