「心地よき世界へ……」

 とある、飲み会(というか、懇親会)にての私の妄想話を聞いてください。宴もたけなわ、ちょうど私の近くにいた男の子が、未成年でお酒も飲めず退屈してしまい、おもむろにかばんからDSを取り出しました。はじめたのは今発売されているドラクエ。私は、おお、見せて見せて、と彼の隣に行きました。そのとき、私に続いてオネーサン3人も「ドラクエ?」と反応し、こちらに来ました。

 メンバーは、A子(既婚)、B子(未婚)のアラフォーさんと、さらにその上の歳のC子さん。この3人、なんと発売日にドラクエを手に入れています。とりあえず、私は何の気なしに言いました。

 私:「このドラクエ、大人気なんですってね。」




A:「うん、面白いよ、私OOまで行った~」
B:「私はⅣが好きだな、今回のはイマイチ」
C:「私は、欲しい訳じゃなかったんだけどうちの長女が買って、今は私がハマってる」


 この台詞は、要約じゃなくって、タイムリーにこの順に台詞です。コトバもほぼそのままです。これ、フツーの会話に見えますか……ちょっと微妙じゃないすか? 時々最近、ヒトビトの会話の中に、違和感を覚えることがあります。

 その違和感とは、コジツケに聞こえるかもしれませんが、こんなことなんです。だって、私が振ったのは「ドラクエ大人気」ブリの話です。A子さんの進行具合を聞いてるわけじゃありません。でもまだ、ここは関連話で、許容範囲ですし、この時点では、私も相槌を打っています。

 でも、ⅣがスキというB子さん。Ⅳはどういう話でしたっけ……?私はⅢ以降は順番解んないです。C子さん。あなたの長女のコトは、そこにいた誰もが知りません。私はなんとなく、居心地の悪さを感じます。でも、まだ、混沌として、何がどうとかか確立していません。さらに続きます。

C:「長女がさ、家にずっといて。外で遊ぶより私と遊んでた方が好きみたい」
B:「ああ、私も家にいるほうが好きだな~ ずっとゲームやってるもん(笑)」
A:「私はゲームって言うか、『ドラクエ』が好き。ゆっくりできるし、好きな時に、好きなだけ遊べるし・・・」


 これもそのままの順です。周りが全部女性なので、女性のルールではアリなのかもしれませんが、私はここらでちょっと「えっ」と思いました。「会話」になって無いですよね。みんな自分の勝手な感想を言い合ってるだけで、相手の振ったお題に乗る気は無いみたいです。「長女さんが、自分のことを好いている」「自分は家派」「自分はドラクエ好き」。会話のキャッチボールではなく、ドッジボールです。

 でもこれで、お互いに笑いあって、その場は成立してるんです。これ、慣れなのか、その方が生きやすいと判断したのか…。この居心地の悪さはナンダロウ……と私はいっしょけんめ思いを巡らせました。

 よーは「自分を知って欲しい」「自分の話を聞いて欲しい」という事です。この欲求は理解できます。でも、みんなこれじゃ、誰がその欲求を満たしてあげればいいのだろう……?これは、お互いに「受け入れた」ということになってるんですかね。自分が受け入れてもらえない寂しさって解りますでしょ。みんな、お互いに笑顔なので、拒絶感は無いのだろうと見えますが、私の目には、そこにコミニュケーションという物が存在しているのかどうか、釈然としませんでした。

 と。外野が余計なツッコミを考えてました。思うだけならイイかもですが、その場で口に出したら戦争です(カイジ名言集)。とうぜん、私はそうなんですか~を連発していました……。

 私はこう思います。我々の周りでは、様々な仕事やいろんな場面で、PCをはじめとした「キカイ」が台頭し「自分の思うようにならないもの」がすごく減っています。そしてその従順なキカイが思うようにならないときは、無条件でイラっとしたりします。本来、思うようにならなくてアタリマエの、たとえば食物の収穫でさえ、いまや思うようになります。

 私も含め、ヒトはどんどん思うようにならないものを廃除し、思うようになるものの中での暮らしが必然だと思いはじめているのかもしれません。だから、次に排除しようとしているのは、もっとも自分の思うようにならないモノなのかもです。

 それが「ヒトノココロ」なのかもしれません。


(あ、ちょっとブラック……)