ヒトをかくということ

【制作と近況報告】

ご機嫌いかがでしょうか、恒例の2月風邪で1週間を無駄にした高石です。娘様が外からお持ち込みになったようで、なかなか手ごわい相手でした。

葛根湯ベースで、パブロンはA(最安価)では効かず、ちょっとお高いSWへと進化させて、今日の午前中にようやく復活しかかって来ております。

制作の方は、えと、5月のコミティアに久しぶりに出てみようと思ってて、その本のプロットを作っているところです。漫画です。GoToの流れに、一応はいるのかな、ちょっと珍しいタイプというか、らばたではめったに出ない「女性型モンスター」が出る予定です。

詳細また。

【実は2稿目です】

実は昨日、一回このブログ記事を更新し、15秒後ぐらいに削除しています。

なぜ削除したかは、このブログにふさわしくない事を書いたからです。

どんなことを書いたかというと、自分は最近「お金の価値が下がっている」と思う、という事を書きました。2時間くらいかけて。

若い頃は、1万円くれるよ、と言われたら結構なんでもやっちゃってたけど、最近じゃ「長時間拘束と、みじめな想いをさせられるなら月/300万でもあんまりやりたくない」という事を書きました。

なのに、読み返してみると「オレは自由人。給料で縛られている会社員は可哀想」みたいな表現になってて、自分の書き方かった「お金って、そんな偉いものじゃないと思う」という所からかなりズレて「見える」のがよろしくなかったのです。

【正直さと正義さの違い】

自分は確かに会社務めはしてないですし、出来ないですが、会社員の人たちを可哀想と思ったことはありません。大雪で電車が止まって帰れなくなってるニュースを見ると気の毒だなぁとは思いますが、「会社務めなんかするからだよ」と、バカにするような感じで観たことはありません。

また一方、自分が書いて消した手記「お金の価値」についても、「月に300万円もらって奴隷をするか?」という問いに対し、自分は絶対嫌だなって思うのも正直なホントです。

でも、世の中にはお金が必要な人がいて、「自分は奴隷みたいだ」って思いながらお仕事をしている人がいることを、自分は知っています。ならば、手記の真意が悪口では無かったとしても、その人を揶揄するような表現に見えるのは、自分の本意ではありません。

自分に正直であり、自分が正しいと思うことをそのまま書くのってあんまりカッコ良くない時もあるんだなって思いました。

【じゃあ何を描くのか?】

自分がそう思ったからそう書く。これはクリエイターの本質ではあると思うのですが、それがただの悪口になっては宜しくありません。では、描くものはなんだ?もう一度整理します。

「お金をもらって、したくもない仕事をするのは愚かだ」って書いたら、それに該当する人は気持ちよくない。そう思ってない人はもちろん、実際にうっすら、自分でそう思ってたとしても、人に言われると腹が立つ。

クリエイター様だから、偉そうに描いていいのか? HA!そんなことはもちろん無い。

じゃあ、2稿目でまた、なんで高石がこのギリギリの際(きわ)ラインを攻めて、そんなことを書いているのか?

これが、最近高石の中で旋風を巻き起こしている「物語」だからかもしれないノデス。

【退屈な説明と、心がざわつくもの】

「ある会社員の日常」って物語があったとして。

日々頑張って、眠い日も出勤して、仲間と仕事して成果を上げて、帰って眠りにつく。今日もよく頑張ったぜ。

これは物語か? いや、解説、説明です。つまんない。

朝の電車では、嫌な乗客とにらみ合いになって、傍若無人な上司の相手をして、同僚にお金を貸したまま逃げられる。そんな主人公が帰りの電車、腹いせに弱そうな人を殴ろうとしたけど、自分にはできなかった。

ちょっと物語になってきてます。心がざわっとします。

らばたの物語の主人公は、「辛い目に合う」までは、描けるんですけど、高石が描けないのはその次の「腹いせ」の行動です。

だって、それは物語で描く必要が無いと思っていたし、それを書きたくなかったから。

【物語でえがくもの】

描きたくないものをあえて書く必要は無いと思うんですけど、辛い目にあった善人の主人公が幸せになる話だと、良かったね、で終わっちゃいます。

それは物語力でいえば、そんなに強くないんじゃないかなって思ったんです。物語ヂカラ=皆さんをこの世界に引き留めておく力。

1稿目に描いた文章は、高石という悪が存在していたので、物語としては面白くなりそうだったけど、説明として書いてしまったから、あまり面白くなく、ただのオレツエーになりかねない。

さらに、ココの主人公=高石であるということで、単にヤツは嫌な人間だで終わってしまう。主人公の奥底にある(あるのか?)本当の心理描写を、高石はうまく描けない。これまで描いてこなかったから。

ただ、主人公の嫌な所を書くのはごめんだけど、その結果皆さんをひき込めるというのなら、それは大歓迎。

結局、人を書くって言うのはそういう事なんだ。

説明でなく、何が起きたかを描写すればいい。それが「良い悪い」を書き手がジャッジする必要は無い。ただ、その人が、それをやった、という事を書けばいい。

物語を面白くする為にすることは、ただ、自分の正義だけを描けば良いんじゃないんだ、という事を学びました。

というお話でした。